【水耕栽培の歴史】ユリウス・フォン・ザックスのまとめ

【水耕栽培の歴史】ユリウス・フォン・ザックスとは

こんにちは。

ケミクライムです。

私は水耕栽培で野菜を育てています。

挑戦してみて分かった事ですが水耕栽培には素晴らしい魅力があります。

分かりやすいメリットとしてこの3つがあります。

  • 天候に左右されない。
  • 土で汚れることがない。
  • 収穫量が予測できる。

※天候は外で育てる場合は影響があります。

そんな素晴らしい水耕栽培ですが、一体誰が最初に始めたのでしょうか?

そこでネット・本などを使って調べてみることにしました。

するとこんな人に辿り着きました。

ユリウス・フォン・ザックス(ジュリアス・フォン・サックス)

英語表記:Julius von Sachs

なんかすっごい頭良さそうななおっさんです。

彼の歴史そして水耕栽培の歴史を紐解いて行きましょう。

ザックスの生い立ち

ザックスは1832年10月2日にブレスラウ(現ポーランド・ヴロツワフ)に生まれました。

父親が彫刻師だったので、ザックスは絵の書き方を父から教わりました。

ザックスは植物が大好きな子供でした。

父とはよく野外で植物の絵を描いて過ごしていました。

1845年〜1850年までは、自然科学、頭蓋骨の収集、ザリガニの論文作成に最も多くの時間を費やしていました。

彼が16歳になったとき、父親は死亡し、翌年、母親と兄弟の両方がコレラで亡くなりました。

突然お金の面で支援が無くなったのでザックスは学校を辞めなくてはならなくなりました。

そんな彼を救ったのがプルキニェでした。

プルキニェは解剖学者で生理学者です。

プルキニェはのちにプルキニェ現象(暗い所では赤よりも青が鮮やかに見える現象)や汗腺を発見しています。

さらに血液を流れる血漿(けっしょう)の名付け親でもあます。

一言で言うと天才です。

そんな天才の下で助手をしたことからザックスは生理学に興味を持ちます。

プラハ大学で1856年に博士号を取得し植物生理学の道へ進む事になりました。

ザックスはプルキニェの研究室で長い時間を過ごしました。

そして、研究室での仕事が終わった後、毎日自分の研究を長時間行っていました。

その研究というのは植物がどのように成長するのかを確立することでした。

ザックスの経歴

  • 1856年にプラハ大学で学んで博士号を取得し、植物生理学の私講師となる。
  • 1859年にタラント農業アカデミー(現:ドレスデン工科大学)の生理学士に任命。
  • 1862年にケムニッツの工科大学の所長に就任。
  • その後ポッペルスドルフの農業アカデミー(現在はボン大学の一部)に移る。
  • 1867年にフライブルク大学の教授となる。
  • 1868年にヴュルツブルク大学の教授となる。
  • 1897年5月29日ヴュルツブルクにて亡くなる。

ザックスと水耕栽培

水栽培の歴史は古く、古代エジプトで行われていたという話もあります。

しかし、研究自体はされていませんでした。

水栽培を初めて本格的に研究したのがザックスです。

植物の根が水を吸収してそれがどのように他の細胞に伝わるのかを調べ、

そこから水栽培で必要な肥料(養分)が何なのかを調査していました。

さらに植物は本当に必要な養分をどの程度必要とするのか調べていました。

ザックスが栄養分を実験的に調べる方法として用いたのがこのような装置です。

この装置こそが水耕栽培と呼ばれる元となった物になります。

今までは糞尿や堆肥を撒けば育つ事から根は有機物を吸収していると思われていました。

しかし研究するうちに、りん、窒素、カリウムなどがイオン化したものを根が吸収していることが分かりました。

それによって植物が成長することを突き止めました。

ザックスの実験によればKNO3,Ca3(PO4)2,MgSO4,CaSO4,NaCl及びFeSO4を含む培養液を与えれば植物は正常に生育したそうです。

培養液の組成としては以下のようになります。

塩類 (g/l)
KNO3 1.00
Ca3(PO4)2 0.50
MgSO4,7H2O 0.50
CaSO4 0.50
NaCl 0.25
FeSO4 微量

ザックスの功績(光合成とデンプン)

    ザックスが発見したこと

  • 植物が光合成が行うと最初に現れるのが、植物の葉にデンプンが生成されること。
  • 光合成でデンプンが出来るのは葉緑体の緑色色素(クロロフィル)が関与していること。
  • そしてそれは光の明るさによって変化すること。
  • さらに葉の明るさに依存すること。
  • デンプンの生産は植物の成長に必要であること。
  • デンプンの形成および貯蔵は光の強度の影響を受けること。
  • 植物がデンプンを蓄積することが出来るときのみ成長すること。
  • 太陽光が奪われた場合はデンプンが消えてしまうこと。
  • しかし再び光を当てるとデンプンは生産と蓄積が起こること。

以上のことを発見しています。

ザックスはさらにこう述べています。

昼はデンプンを生産して貯蔵するが夜は同じデンプンが分解されなければならない。

まとめ

ザックスの生い立ちから彼の功績、そして水耕栽培の歴史の始まりを紹介しました。

水栽培自体は昔から行われている方法だったのですが、本格的に実験をして必要な栄養素と量を発見したのはザックスが最初だったようです。

植物は成長するのに時間がかかるので調べるのも大変だったと思いますが、この人がやり遂げたからこそ現在の水耕栽培があるのだと思います。

すげーよ。ザックス。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

水耕栽培をする上で何かの参考になれば幸いです。

参考文献

Wikipedia
ユリウス・フォン・ザックス

英語版Wikipedia
Julius von Sachs

英語版ブリタニカ百科事典
Julius von Sachs

野菜園芸大百科第2版:養液栽培養液土耕22 社団法人農山漁村文化協会

野菜園芸大百科〈22〉養液栽培・養液土耕

スポンサーリンク
スポンサーリンク

この記事をシェアする

ケミクライムをフォローする

スポンサーリンク